生産から流通、食育まで地鶏の魅力を発信するベンチャー企業

あまから手帖 10月号
生産から流通、食育まで地鶏の魅力を発信するベンチャー企業
 食肉のブランド化が著しい。鶏肉も例外ではなく、日本食鳥協会HPによると全国の地鶏銘柄鶏は185種。十数年前に薩摩鶏と名古屋種、プリマスロックの三元配合種として開発された「ひょうご味どり」もその一つだ。最盛期には年間55000羽生産されていたが、ひょうご味どり普及推進協議会によると現在月間生産量は800羽(2800㎏)に減少しているという。
「3年ほど前、地鶏の生産者とのパイプを持つ料理人の野網さんと出会い、地鶏のおいしさと生産者が抱える問題を知ったのが始まりです」と語る宮武氏。「生産者の高齢化が進み、世代交代がうまくいっていないことに加え、農学校新卒者の養鶏業への就業率が低い。また、モモ肉は高値が付くが、ムネ肉は生産者が在庫を抱え、廃棄処分しているんです。」
 そんな中、宮武氏は昨年末、野網氏、山中氏とともに『トリ風土研究所』を設立し、生産から流通までの運営を行うひょうご味どり復活プロジェクトを立ち上げる。ユニークなのは、兵庫県立播磨農業高等学校の生徒に授業の一環としてその鶏を飼育してもらい、すべて買い上げるという点。飼育には県の農林水産技術センターと農政環境部の職員も加わる。
 9月2日に初めてヒナを仕入れて飼育し、12月6日に処理出荷予定。販売は1羽単位で、ネットを通じて800羽限定の予約制だ。また、同研究所は解体実演などの食育イベントでも地鶏の魅力を消費者にダイレクトに伝えており、この実験的な取り組みの行方に多くの生産・販売業者が注目しているという。
 山中氏は「私たちの活動を通じて生産者の思いを伝えたい。そして生産者には刺激を与えたい」と語る。最後に野網氏。「目的は単に地鶏復活ではありません。鶏の食文化を、本当に美味しいものを世界に発信したいと考えています」。

発行元:クリエテ関西/あまから手帖 2014.10月号

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